前橋市議会議員、市村均光(ただみつ)です。
3月議会で、前橋市のDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資と、その効果について質問しました。
行政でも、生成AIをはじめとするデジタル技術の導入が急速に進んでいます。
前橋市でも「前橋市DX推進計画2.0」に基づき、さまざまなDX関連の取組が進められています。
しかし、大切なのは新しいシステムやAIを導入すること自体ではありません。
「DXによって何を実現するのか」
そして、業務が効率化された結果、生み出された職員の時間や人材を何に使うのか。
今回は、前橋市がDX投資の目的と効果をどのように考えているのか確認しました。
DXの最終目的は「住民サービスの向上」
前橋市DX推進計画2.0では、**「住民サービスの向上」**をミッションとして掲げています。
市からは、これがDX投資の最終的な目的であるとの答弁がありました。
今後、行政を取り巻く環境は大きく変わっていきます。
市民ニーズが多様化する一方で、職員の大量退職による年齢構成の変化や、それに伴う業務知識の流出、必要なスキルを持つ人材の確保が難しくなることなども想定されています。
こうした状況でも行政サービスの質を維持・向上するために、DXによって業務を効率化し、限られた人員でも持続可能な行政運営を行う必要があるとの考えが示されました。
DXで生まれた「時間」を何に使うのか
私が特に重要だと考えているのが、業務効率化によって生み出された時間や人的資源をどう使うのかという点です。
単純に「作業時間が減りました」で終わるのではなく、その時間を市民サービスの向上につなげなければ、DXの本来の意味は薄れてしまいます。
市からは、DXによって創出された職員の時間や人的資源を、
・市民への相談業務
・企画立案業務
など、より付加価値の高い仕事へ再配分するとの考えが示されました。
デジタルに任せられる仕事はデジタルに任せ、人にしかできない仕事に職員がより多くの時間を使う。
この考え方は、今後の行政運営において非常に重要だと思います。
前橋市役所でも生成AIを活用
具体的なDXの取組として、生成AIについても確認しました。
現在、前橋市役所では無償版の生成AIを全庁で運用しており、アイデア出しや文章作成などを中心に活用が進んでいます。
さらに、前橋市DX推進計画2.0では、有償版の生成AIについても一部の事業分野で試行する方針です。
単に「生成AIを導入した」ということではなく、
・どの業務が効率化されたのか
・どのくらい時間を削減できたのか
・生まれた時間を市民対応などに振り向けられたのか
といった観点から、具体的な効果を検証していくとのことでした。
電子契約で事業者の負担も軽減
DXは、市役所内部の効率化だけではありません。
令和8年度には、電子契約システムの導入も進められます。
群馬県内の市町村と共同調達することで、導入コストを抑えてシステムを調達するとのことです。
電子契約によって、
・契約書への押印
・製本
・郵送
・印紙代
などが不要となり、市と契約する事業者の事務負担と費用負担の双方を軽減できるとしています。
これは、DXの効果を市役所の中だけにとどめず、行政と関わる市民や事業者にも還元する取組です。
「導入したか」ではなく「市民に何が返ってきたか」
生成AIや電子契約をはじめ、今後も行政のDX投資は進んでいくと思います。
だからこそ重要なのは、
「新しいシステムを導入した」
「業務時間を削減した」
というところで評価を終わらせないことです。
例えば、AIによって職員の事務作業が年間1,000時間削減できたのであれば、その1,000時間によって、
市民への相談対応が充実したのか。
政策を考える時間が増えたのか。
行政サービスが便利になったのか。
そこまで確認して初めて、DX投資の成果を評価できるのではないでしょうか。
人口減少によって行政の担い手も限られていく中、デジタル技術を活用することは不可欠です。
一方で、DXは目的ではなく手段です。
デジタルで効率化できるところは効率化し、人にしかできない仕事に、より多くの時間を使う。
そして、その成果を市民サービスの向上につなげる。
今後も、前橋市のDX投資が実際にどのような成果を生み出しているのか確認していきます。



